進む人口減少と過疎化
これからの日本では、少子高齢化が急速に進む。2050年の人口予測は20年から17%減の1億469万人だが、この人口減少は全国一律に進むわけではない。
20年と50年の人口を比較すると、日本の人口は2146万人減る。都道府県別では、人口減少数がもっとも多いのは大阪府の157万人だが、大阪府は人口が多いので比率でみると17.8%減だ。
人口減少が進む中で人は東京に集中するので、東京都のみ人口が増加すると予測されているが、残り46道府県では人口減少が進む(図-1)。中でも11県の減少率は30%を超えると予測されている。
過疎が進む地域では公共交通機関は廃止され、ガソリンスタンド、スーパーもなくなる。水道料金は上がる。住みにくくなり、便利な地域の中心都市に人は集まる。
たとえば、50年の高知県では人口の半分以上が高知市に住むと予測されているが、多くの地域でも同じように県庁所在地に人が集まる。その県庁所在地の人口減少もなだらかに進む。
過疎が進む地域は雇用を作り出し生き残りを図る。その一つが観光だが、日本人が貧しくなり旅行に掛ける費用を削減する中で外国人観光客に期待しても、外国人観光客が訪問する場所は限られていて、多くの地域は蚊帳の外だ。観光に係る産業は生産性が高くない問題もある。
そんな中で、過疎に悩む地域が起爆剤として期待するのが洋上風力と水素製造だ。
雇用は生まれるのか
地域が豊かになるには生産性が高い、要は給与が高い雇用が生まれることが必要だ。再生可能エネルギー(再エネ)設備へ出資する投資家は都市部に本拠を持っており、投資に対する収益が地元に落ちることは少ない。地元の雇用に期待が集まるのは当然だ。
しかし、稼働している太陽光、風力発電設備の近くで働いている人を見かけることはほとんどない。再エネ設備は雇用を生まないのだろうか。日本に先駆け再エネ設備を導入したドイツの雇用状況から日本の雇用を推測することが可能だ。
ドイツの太陽光発電設備と関連する雇用が図-2に、陸上風力関連が図-3に示されている。設備導入量は着実に増えているが、雇用は増えていないどころか、減っている。
雇用者数が減少する理由は、設備導入量が減っているからだ。ドイツの再エネ関連雇用の3分の2は建設に係る雇用とされており、導入量に合わせ雇用が調整されている。