2025年12月5日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年10月6日

 2025年9月16日付ウォールストリート・ジャーナル紙は、9月中旬にベラルーシで行われたロシアとの年次合同軍事演習に米国人将校が招待されたことを紹介し、プーチンがトランプへの働きかけを維持するものだろうとの解説記事を掲載している。

露・ベラルーシの合同軍事演習(ロイター/アフロ)

 今週行われたロシア最大の年次軍事演習で、最前列の席に座ったのは米軍将校だった。本年の合同戦略演習への米軍の招待は、停滞する和平プロセスをめぐる米国との緊張緩和への意欲を示すものだ。演習ではロシアが他のパートナー国と並んで参加し、軍事力を誇示した。

 この軍事演習に対し、北大西洋条約機構(NATO)の東翼では、先週発生した NATO領土へのドローン侵入を受けて警戒が高まっている。ロシアは、これまでも軍事演習を、国境を越えた侵攻の口実として利用してきた。最近では22年のウクライナ侵攻がその例だ。

 この大規模演習には、ロシアの国際的なパートナーシップを強調する狙いもある。インドとイランの部隊を含む30カ国以上が演習に参加または視察している。中国と北朝鮮の代表団も米国とともに、この演習を視察した。

 米国や他国を公式に招待したのはベラルーシであるが、この演習の振り付けにはロシアが関わっているとみられる。プーチンによるトランプへの働きかけを維持する手段の一つということだ。

 先週の無人機侵入事件では、NATO軍の戦闘機がロシアの無人機を同盟国領空で初めて撃墜したが、ロシア軍はNATOにとってますます大きな問題となっている。

 演習には、NATOと対峙するロシアの主力艦隊である北洋艦隊に対する航空攻撃の襲撃や、ロシアがウクライナの無人機を無力化するために使用する電子戦装備を用いたものが含まれる。また、ロシアが昨年ウクライナ攻撃に使用した核搭載可能な戦術ミサイル「オレシュニク」の使用も計画されている。


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