ロシアによるウクライナ侵略や、日本の施政権下にある尖閣諸島周辺への中国の侵入は、日本を覚醒させる警鐘となっている。現在の政治的な対立の焦点は、新たな防衛費そのものではなく、その財源確保にある。自民党は増税と国債の併用を提案し、対する野党は増税を回避し、既存の国内政策からの資金の再配分を主張している。
中国は最近、日本に対し「専守防衛の範囲を大きく超える兵器の購入を控えるべきだ」と警告した。北朝鮮もまた、日本は「軍事的に無謀だ」と非難している。
こうした敵対国からの批判的言辞こそが、日本が軍備増強を進める必要性の大きさを浮き彫りにしている。日米安全保障同盟は、長年にわたり地域の安定の柱であり、米国民にとっては、信頼できる新たな同盟国の台頭は歓迎すべきニュースである。
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米国と日本のメリット
この論説が認めている通り、「米国が戦後に定めた憲法」によって日本の軍事力は制限され、防衛費も最小限に抑えられてきた。それが当時の米国の利益だったと言う。しかし現在は事情が逆転し、日本が防衛力を拡大することが米国の利益となり、トランプ大統領の圧力で日本はその方向に動いていると言い、しかもそれは「米国民にとって歓迎すべきだ」と評している。
米国はその利益に従って日本に圧力をかけ、かつて日本に軍事費を削減させ防衛力を削いでいたが、事情が変われば自国の利益になるよう、日本の防衛力の強化のために軍事費を増額させている。現在、米国が日本の防衛費の増額を要求しているのは、北東アジアの防衛線を強化するためもあるが、米国の防衛装備の輸出拡大の市場を日本に求めているところもある。
