「G2」から「G1」の実現――トランプの選択
イランに対する軍事攻撃と体制転換に関して、トランプ政権内に消極的な立場をとる人物がいる。J.D.バンス副大統領だ。
バンスはトランプがベネズエラを攻撃した際も、攻撃に反対し、トランプの核となる「チームから外された」と報じられた。その点では、バンスは「本MAGA」とみてよい。新たな戦争や外国政府の体制転換に反対の立場を貫いた。一方、トランプ政権内で主導権を握ったのはルビオで、ベネズエラ攻撃は彼が政策立案者だと言われた。
今回のイラン攻撃においても、バンスは積極的に攻撃を正当化せず、あまり関与していない。記者会見で、副大統領としてトランプの後ろに立つことも少ない。
3月13日、南部ノースカロライナで約30分演説を行った際も、減税から入り、移民問題や選挙制度改革法案について述べ、最後の最後に「トランプ大統領は、イランは核兵器を持つことはできないと繰り返し語っている」と一言触れたのみであった。
演説後、記者団がイランとの戦争に関してバンスがトランプにどのような提案をしているのか質問をすると、バンスは「米国のメディアに対していらないことをペラペラしゃべるアドバイザーとは、大統領は話せない」と回答し、質問をかわした。バンスは今回のイラン攻撃を「トランプとイスラエルが行っている戦争」であって、「バンスの戦争」とはみられたくない。心理的にトランプと距離があるバンスは、物理的にもトランプと距離を開けている。
一方、トランプは南部フロリダ州の私邸マーラ・ア・ラーゴでの記者会見で、バンスの言動に関する記者団からの質問に「彼とは哲学的に少し違う」と回答し、イランおよびベネズエラ攻撃に関して2人の間に「温度差」があることを認めた。
トランプはMAGAから信頼の厚いバンスを必要としているが、その一方で、バンスの存在がトランプの願望に対する阻害要因になる可能性もある。現状の「G2」に甘んじているトランプだが、その本音には「G1」があるのだ。これからの「G2」と「G1」の展開に注目して行きたい。
