仏領ギアナってどこにあるの?
12月2日。ダナンビーチ近くの食堂。アフリカ系の母親と息子の2人の若者がベトナム名物のバンミーを食べていた。バンミーはフランスパンに焼肉や野菜を挟んだベトナム風サンドイッチである。南米の“フランス領ギアナ”から旅行に来たという。念のためグーグルマップで確認すると、ブラジルのアマゾン川河口の北に位置する大西洋に面した地域である。
筆者は咄嗟に、1973年に公開されたスティーブ・マックウイーン主演の映画『パピヨン』の舞台である悪魔島監獄が、フランス領ギアナの沖合にあったことを思い出した。一家に映画『パピヨン』の舞台の国かと確認すると「その通り。ギアナには他に何もない。世界中に知られているのは悪魔島監獄だけだ」と3人は大笑いした。ちなみに映画のモデルとなった実在のパピヨンは、悪魔島監獄を脱出してベネズエラに亡命して、波乱万丈の半生記を書いて世界で1000万部の大ベストセラーとなったらしいが。
仏領ギアナは公用語も日常語もフランス語というが、3人とも流暢な英語を話した。母親は教育者のような話し方をする教養人であった。仏領ギニアは17世紀初頭からフランス人が入植して以来、現在に至るまで長い歴史があるらしい。フランスは仏領ギアナを政治犯や凶悪犯の流刑地として熱帯の劣悪な自然の中で囚人による強制労働で開拓したとのこと。
フランスは植民地である仏領ギアナにはなんの恩恵も与えない
現在人口30万人であり、自治政府があるが、元首はフランス大統領であり、政治行政のトップはフランスから派遣された総督であり、絶対的権限があるので自治権は名ばかりと批判した。
そしてフランスはめぼしい資源のない仏領ギアナには、投資しなかったので現在でもこれといった産業がない。唯一フランスが建設したのは宇宙センターであり、ロケット発射基地となっている。宇宙センター以外にはわずかな漁業と農業しかないという。
他方でブラジル人が仏領ギアナのビジネスを牛耳っており、仏領ギアナ人を見下している。仏領ギアナには油層がありそうだと、ブラジル国営石油ペトロブラスは、フランス国営石油トタルと合弁で油田開発に乗り出したが、油田は見つからず撤退したという。
フランスは仏領ギアナの発展を望んでおらず、“現状維持で良し”としているという。フランスから独立したベトナムが飛躍的に経済発展していることを3人は非常に驚いていた。ニューカレドニアでは、フランスからの独立運動を巡り大騒ぎとなっているが、残念ながら仏領ギアナの人々は独立したいという意欲すらも持っていないらしい。フランス国内で失業した若者が植民地で一旗揚げようと、ギアナに来ても“何もない仏領ギアナ”に失望してフランスに戻るという。
それほどまでに希望が持てない仏領ギアナであるが、皮肉なことに治安だけは悪くないと3人は自嘲気味に笑った。いつか何もない仏領ギニアを歩いてみたい。
