2026年6月17日(水)

トランプ2.0

2026年6月17日

 ICEのよる取り締まりがそれほど懸念される理由の一つは、見かけが白人でないというだけで、正当な在米資格があったり、米国籍保有者であったりしても、摘発される事態が繰り返されていることである。そのような取り締まりを後押しているのが、トランプやその熱心な支持者たちの人種観である。トランプは、それらの「好ましくない」移民出身地を指しての「肥溜めのような場所」と表現したり、「ノルウェーのような場所からの移民が増えてほしい」などと発言しており、偏った取り締まりにお墨付きを与える形になっている。

 さらにイランとの戦争も影を落としている。イラン代表団は選手以外のスタッフなどの入国は認められず、代表選手も米国ビザが認められたものの、米国内滞在は試合当日のみと通告されていた。

 そのため、グループリーグ3試合すべて米国内での開催であるにも関わらず、チームの拠点をメキシコに置かざるをえなかった。後に選手の試合前日の入国が認められたものの、スタッフなどの入国は依然として認められず、相手チームが試合のある都市近辺で調整するのに対し、直前に飛行機で国外から現地入りするしかなく、大きな負担となっている。

障がい者への配慮もない利益最優先の大会

 何より94年の大会との大きなもう一つの大きな違いは、今回がダイナミックプライシングの導入など、利益を極大化することを徹底させた大会であるという点である。極めて少ない数しか用意されていない最安カテゴリーのチケットでもおよそ1万円、高いチケットでは80万円以上するものもあるという。

 国際サッカー連盟(FIFA)自体が転売における上限を設定していないため、決勝戦では、高いものでは1億円を超えているチケットもある。ちなみに前回のカタール大会では決勝の一番高いチケットでも30万円を下回っていたという。

 今回は、企業の接待用のバックスタンドの個室スイートや豪華な飲食がセットになったパッケージも各種用意されており、それには1000万円を超すものもある。あまりの高値と不透明な販売方法に、ニューヨーク州の司法当局が調査に乗り出す事態となっている。

 利益極大化が最も明確に表れているのが障がい者に対する対応である。前回のカタール大会では、障がい者のチケットは1500円ほどで、介助者は無料であった。今回の障がい者のチケットは、カタール大会の約38倍の値段で、介助者も有料となっている。

 しかも、障がい者と介助者の席が隣かどうかは保証されない。また駐車場も一般車両と同等の高額で販売されている。これらは人権団体が国連に通報する事態にまで発展している。

 これらの障がい者対応は、一義的にはFIFAの責任であり、「FIFA平和賞」を創設し、第一回としてトランプに授与するなどの姿勢と相まって、インファンティーノ会長への批判も高まっている。40億ドルのビジネスを壊されないためには、スポーツマンシップも、人権に対する配慮も、政治的中立も、サポーターへの配慮も捨て去ったというのである。


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