2023年2月7日(火)

安保激変

2015年4月23日

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辰巳由紀 (たつみ・ゆき)

米スティムソン・センター日本部長

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。東京生まれ。国際基督教大学卒業後、ジョンズ・ホプキンス高等国際問題研究大学院で修士号取得。在米日本大使館専門調査員、戦略国際問題研究所(CSIS)研究員などを経て2008年より現職。2012年よりキヤノングローバル戦略研究所主任研究員を兼任。専門は日本の防衛政策、日本の国内政治、日米安全保障関係、米国の対アジア安全保障政策。

 現在のガイドラインでは、旧ガイドラインで「極東における事態」とされていた概念が「日本国周辺地域における事態」(周辺事態)という概念で改めて整理され、「平時」「有事」と併せこの「周辺事態」の3つの事態において米軍と自衛隊の間でどのような防衛協力を行うかが定められている。特に、「周辺事態」では集団的自衛権の行使に該当しないよう、自衛隊の役割は米軍の後方支援に限定して行われることが明記されている。現在のガイドラインで定められている防衛協力を自衛隊が実施するための国内法制上の法的基盤を整えるため、現行のガイドラインが策定された後約6年をかけて、いわゆる「周辺事態法」(1999年に成立)と「有事法制」(2003年に成立)が整備された。2013年10月の2プラス2会合以降作業が行われているガイドラインの見直しは、2度目の見直し作業である。

現在のガイドライン見直しは
集団的自衛権限定行使容認がカギ

 旧ガイドラインと現在のガイドラインの最大の違いは「周辺有事」という概念の下で米軍と自衛隊が行う防衛協力の内容についてより具体化したことにある。では、現在進行中のいわば、「新・ガイドライン」に向けた作業のカギはどこにあるのだろうか。

 今回のガイドライン見直しにおけるカギは大きく分けて二つだろう。一つは日本側の集団的自衛権の限定行使容認、より正確に言うと、この「限定行使」の範囲であり、もう一つは日米それぞれが、ガイドライン見直しで何を目指しているのか、である。

 前者については、今回のガイドライン見直しでは、現実にはかなりのスピードで展開していく「平時」から「有事」にいたるまでの緊張の高まりを、現行のガイドラインでは、ある意味人工的に「平時」「周辺事態」「有事」の3つの類型に切り分け、それぞれの状況の下での日米間の防衛協力の在り方について定めている状態を改善し、東シナ海における中国の動きに代表されるような「平時以上武力行使未満」の事態(いわゆる「グレーゾーン事態」)にも効果的に対応できるように日米間の防衛協力が緊張の高まりの度合いに合わせて切れ目なく、スムーズに行われるようなガイドラインの設定を目指している。

 しかし、これまではこのような切れ目のない防衛協力を実現しようとする場合に、日本が集団的自衛を行使できないことが実態上、大きな障害となってきた。日本が米国と防衛協力した結果が米軍の軍事作戦に結びつくような行為は「武力行使との一体化」であり「集団的自衛権の行使」にあたる可能性もあると考えられている。このため、日本が米軍に協力できることは、現行のガイドラインではあくまで「後方支援」、つまり、実際の戦闘とは直接関係ない医療品などの補給業務や輸送業務などに限られ、自衛隊が活動する範囲も「非戦闘地域」に限られている。


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