2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年12月2日

 この紛争が終わるまで、時間がかかる。ホーシー派はイエメンの一部に危険な力の真空を作り出しており、アルカイダやイスラム国がそれに付け込んでいる。その結果、我が国の将来以上のことがここにかかっている。

 イエメンでの失敗は過激派を大胆にし、地域的、世界的に反響があるだろう。勝利はイエメン人が自決の権利を守り、平和的に繁栄し、これらの価値の重要性を中東で示すことになるだろう、と述べています。

出典:Khaled Bahah ‘Battling Iran-Backed Extremists in Yemen’(Wall Street Journal, October 27, 2015)
http://www.wsj.com/articles/battling-iran-backed-extremists-in-yemen-1445986111

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混乱継続でイエメンが過激派の巣窟に

 シリアと同様、イエメンも内戦状態にあります。正統政府側がアデンを中心とした南部イエメンを支配し、イランが支持するホーシー派が北部イエメンを支配しています。首都サヌアもホーシー派が支配しています。イエメンの内戦は、正統政府支持のサウジとホーシー派支持のイランの代理戦争の様相を色濃く呈しています。

 バハーハ首相は、正統政府側がアデンを奪還、首都サヌアの奪還も近いとしています。サウジなどの連合軍が「希望の回復作戦」を行っており、戦況はバハーハ首相のいうように正統政府側に若干有利であるようですが、ホーシー派は停戦を拒否しており、まだどうなるかよくわかりません。

 バハーハ首相は、このままではイエメンが過激派の巣窟になり、アルカイダや「イスラム国」が根をおろすことになると警告しています。そうなれば大変ですが、そうなるかどうか、これも判然としません。イランやホーシー派は、スンニ派のアルカイダや「イスラム国」には敵意を持っています。ホーシー派支配地域には力の真空があり、アルカイダや「イスラム国」が付け込む余地があると言いますが、ホーシー派がそれを見過ごすとは思えません。能力的に過激派を排除しえないということについては、ホーシー派も正統政府側もあまり違いはないのではないでしょうか。いわゆる「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」は、確かにイエメンに根拠地を持っていますが、「イスラム国」がイエメンで勢力を持っているとは思えません。

 イエメンは破綻国家化しており、過激派が跋扈しうる状況にはありますが、イエメン問題は過激派問題と言うより、南北の対立、サウジとイランの対立と捉えるのが適切です。

  
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