課長はできても、部長や本部長ができない人
問題は、ここからです。その後、2つにわかれていくのです。1つは、化けの皮がはがれていく。ひとりで仕事をして、ひとりで成果を上げようとして、部下の育成や指導ができない。もう1つは、試行錯誤をしながらも、チームをつくり、皆のレベルを底上げし、マネジメントを覚えていく。
化けの皮がはがれてしまった人は、数人の部下を率いることはできたとしても、30人の部署の部長や本部長をすることは難しい。ところが、こういう人を部長や本部長にしてしまうから、「使えない上司」となるのだと思います。さすがに役員になる可能性は低いのでしょうが…。
私のこれまでの印象でいえば、高い業績を残して昇格した人の7割ほどは、化けの皮がはがれていきます。このことは、昇格のあり方に問題があったことを意味します。本来は、トッププレイヤーではないものの、マネジメントの資質がある人を昇格させていくべきなのです。
最近は、社員の研修などをするアセスメント会社の協力を得て、管理職としての資質や素養を確認する会社が増えてきました。例えば、疑似会議をしてその場での会議の進め方などや、多くの案件を限られた時間内で処理することができるか否かなどを判断するのです。この結果を1つの参考材料にしていくのです。私は、このような動きは好ましいと思います。
管理職には、生産性の高い仕事のやり方を開発し、標準化すること(式)、部下に目標を持たせ、その進捗状況を管理すること(指揮)、部下とよく話をしてやる気を喚起すること(士気)、の3つの『しき』が求められます。これらができないから、部下たちから「使えない上司」と見られるのではないか、と思います。
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