2022年12月8日(木)

Wedge REPORT

2020年12月26日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

1961年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒、同理工学研究科修了。大手メーカーにて商品開発・企画を担当後、独立。現在、商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。

紙媒体のメリットとは何か?

 これ以外にも面白いフリーペーパーはいろいろあるのですが、ネット時代の今、なぜ紙媒体なのでしょうか? 実は人に読んでもらうものを作るなら、紙媒体の方がいいことが幾つもあるのです。

 それは制約の少なさです。逆じゃないかと思われる人もいるかもしれません。しかしネット情報は5つの問題を抱えている様に思います。

 1つは、人に読んでもらうためには、Google、Yahooなどの検索で、上位にヒットしなければならないということです。それを行うためには、アクセス数をある程度まで伸ばさなければなりません。犯罪を犯してまで、目立とうとするユーチューバーがいますが、それは確実に見てもらえるためのアクセス数、検索で上位に乗るためのアクセス数を稼ぐためです。この点、テレビで名を売った芸能人、芸人は有利です。

 そうでない場合、人が反応しやすいキーワードが散りばめられていることが重要です。ところが、それが実難しい。例えば、大阪の本町でランチを食べる場合、大阪にいる友だちからは、「駅名(本町)ちゃうん。船場はつかわへんで」と言われました。要するに、「本町 ランチ」で「船場ランチ」はヒットしないのです。ワードの立たせ方にも制約が入り込みます。

 2つめは、ネットはレイアウトの自由度が割とありません。ノートでいうと横罫線が引かれている様な状態です。それに比べると紙媒体は真っ白な自由帳という感じです。例えば地図の様に一枚の紙に、伝えたい情報を全部盛り込むことも可能ですし、いくつものページに分けポケットサイズにするのもありです。

 3つめは、ネットでの情報発信は、基本間が短くなくてはいけないと言うことです。特に情報系はそうです。できれば、毎日更新が望ましい。ブログが難しいとされるのは、日記のように日々のアップがしやすいからです。

 しかし、逆に言うと、内容は浅いです。数日かけて取材、それを煮詰めて原稿を作るなど、いいモノにするには時間が足らないといえます。

 4つめは、3つめにも絡むことですが、世界観を出し易いことです。ネットはネットサーフィンの様に検索してたどり着きますが、紙媒体はあると、「meets まつら」のように、頭から終わりまでその色に染めることもできます。無限に連続するネットでは作りにくい閉じた世界です。

 これに加えて、5つめは紙媒体は物理的に残ると言うことも強みです。内容はもちろんですが、旅先でメモしたこと、パーカーのポケットに入れたためにできた折り目など、これも電子媒体にはないものです。私も旅先のパンフレットなどはなるべく、そのまま残す様にしています。触るだけで記憶が明確になります。

紙媒体を活かすために

 しかし紙媒体にも、問題は多いです。一番の問題はどこで手に入るのかです。「ちょこたび埼玉」にせよ「meets! まつら」にせよ、現地で手に入れるだけだと、ちょっともったいない。松浦市は長崎市の逆側ですから、アジフライが面白いと言う情報がないと、足を伸ばしにくいところです。行く前に情報が欲しい。船場ランチもそうですね。できれば、ランチを食べる前に入手したいモノです。

 そういう考えからすると、できれば最低でも、各都道府県に数カ所、ペーパー情報をごそっと入手できる様なところが欲しいモノです。要するに、ネットの検索サイトと同じ役割を果たす場所です。できれば、JR、私鉄の主要駅が望ましいのですが、最近は置かせてもらうのも厳しいですからね。しかし面白情報を埋没させるのは損です。こんなことだと観光立国なんて無理です。

 これは、日本地域情報コンテンツ大賞 2020を主催、地域に密着しているフリーペーパーをネットワーク化し、地域情報コンテンツ作りを含めたメディア活動をしている(一社)日本地域情報振興協会も同じ気持ちです。賞を送るのは手段。今、ネットに流れず地域にある情報を皆さんのところに、届けて役目が完結します。情報を継げる可能性がある人は、ぜひ協会に連絡してください。「想いを継ぐ」。それこそ、人がすべきことですから。

  
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