東日本大震災から10年
守れるものを守れ
最後に、『荒廃するアメリカ』の著者パート・チョート氏の一文を紹介したい。わが国で実施された道路特別会計などの一般財源化への示唆でもある。
「公共事業の予算、特にそのために集められた資金は、他の予算とは区別するべきである。このことは経済学者から資金は一括すべきであると学校で教えられたことに反している。しかし、予算編成に携わった者として、長期的な性格の公共事業を犠牲にして、すぐ結果の出る社会保障やその他のプログラムに流用するという政治的な誘惑は、非常に大きいものであることが分かった。そのような政治的な誘惑を防ぐために、これらの会計を別々にしておくということである」(森地茂、パット・チョート:未来への投資―未来のための社会資本整備を終わらせていいのか? P39~60、土木学会07年)
日本の財政事情は厳しい状況にある。だが、インフラ整備・運用に必要な考え方の整理や優先順位をつけて適切な予算を投じなければ、守れるものも守れなくなる恐れがある。
東日本大震災から10年を経過した今だからこそ、われわれは将来にわたってどのようにして日本の「国土」を守り、発展させていくのか、また、今後の時代を見据え「真に必要な」インフラ整備・運用のあり方とはどうあるべきかについて、国民的議論が求められている。
Wedge3月号では、以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンなどでお買い求めいただけます。
■「想定外」の災害にも〝揺るがぬ〟国をつくるには
Contents 20XX年大災害 我々の備えは十分か?
Photo Report 岩手、宮城、福島 復興ロードから見た10年後の姿
Part 1 「真に必要な」インフラ整備と運用で次なる大災害に備えよ
Part 2 大幅に遅れた高台移転事業 市町村には荷が重すぎた
Part 3 行政依存やめ「あなた」が備える それが日本の防災の原点
Part 4 過剰な予算を投じた復興 財政危機は「想定外」と言えるのか
Part 5 その「起業支援」はうまくいかない 創業者を本気で育てよ
Part 6 〝常態化〟した自衛隊の災害派遣 これで「有事」に対応できるか
■「想定外」の災害にも〝揺るがぬ〟国をつくるには
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