日本でも動き出した外国人労働者の受け入れ
外国人労働力の受け入れは西ヨーロッパ諸国や、米国、豪州などでは積極的だったが、日本では非常に慎重だった。それでも厚生労働省の統計によると、(中国や韓国・北朝鮮出身者などの特別永住者を含まない)外国人労働者数は2010年から20年までの間に、65万人から172万人へ2.6倍に伸びている(図2)。
20年に在留資格別にみて最も多いのは身分に基づき在留する者(55万人)で3分の1以上を占める。日本人の配偶者、永住者、定住者、インドシナ難民などが含まれる。定住者は具体的には日本人の血を引く日系人などである。
次に多いのは40万人を超える技能実習である。この資格は10年の法律改正によって設けられたもので、研修生が研修を終えた後に一定期間、技能実習の資格で働くことができるようになった。
37万人の資格外活動とは、本来、留学目的で来日した留学生などが、一定の条件(週28時間以内)のもとで働いているものである。コンビニや居酒屋などのサービス業で重要な戦力になっている身近な存在である。
36万人の専門的・技術的分野の在留資格とは就労目的で在留が認められるもので、本来的な労働者である。具体的には大卒ホワイトカラー・技術者、通訳・翻訳・料理など特別な能力を生かした職業に就くもの、そして経営・法律業務・医療・教育研究などの高度な専門職に従事するものである。
現行の特定活動の資格はワーキングホリデー、インターンシップ、経済連携協定(EPA)による看護・介護研修生など多種多様な内容となっている。20年には5万人に満たないが、今後拡大する可能性がある。
それでも割れる受け入れへの賛否
17年に発表された日本の将来人口推計によれば、50年の生産年齢人口は5275万人、20年から3割も減少するとされている。そこで政府は国外からの労働力導入を促すために、19年に「特定技能」という在留資格を導入した。介護、農業、ビル清掃など14業種(特定技能1号)は5年、より熟練した技能が求められる建設業、造船舶用工業(同2号)は何度も更新が可能で、在留期間に上限はない。また家族の帯同も認められている。
日本経済新聞は、21年11月18日の紙面にて、出入国在留管理庁が2022年に特定技能2号の職種を拡大する方向で調整していることを伝えて、これを歓迎している。特定技能1号の全ての業種を2号に転換して、外国人が実質的に無期限に就労できるようにしようとしているのだ。
この改正には別の評価もある。産経新聞の「外国人労働者、在留緩和へ 移民流入懸念、自民内に反発」(21年11月29日)は、論調としてはむしろ警戒気味である。与党内の意見として、移民流入が地域社会にとって大きな負担になり、あるいは社会の分断を促す懸念があることを伝える。また低賃金の外国人労働力の増加は、日本人労働者の賃金水準を抑える可能性があると指摘する。