尖閣国有化後は“タカ派”に主導権
タカ派紙、環球時報は昨年12月13日付の社説で「釣魚島で軍事対立が起きるのを防ぐため、中国は安倍政権と協議を行うべきだが、中国が釣魚島の海域と空域で実際のプレゼンスを強化する趨勢を保持することが前提だ」と主張していた。今の中国政府の動きは、同紙論調と一致したものが多い。
尖閣国有化後の中国指導部は、軍部や国家海洋局などタカ派に主導権を奪われた観がある。中国は1992年制定の領海法に尖閣を領土と明記して以来、周辺パトロールのルーティン化など“尖閣奪還”の準備を進めてきた。2008年には中国監視船2隻が尖閣領海に約9時間とどまり、10年には中国漁船衝突事件が起きた。
中国公船の領海侵入は昨年9月の尖閣国有化以降、今年2月4日までに計25回に上った。約6日間に1回の高い頻度だ。2月4日は約14時間、1月7~8日は約13時間と今年に入って長時間に及ぶ侵入も多い。
まさに中国は実力行使によって強引に尖閣の“共同管理”に持ち込んできた形だ。日本の尖閣国有化を口実として、国家海洋局は従来狙っていた日本の実効支配への揺さぶりを今思う存分に行っているのだ。
安倍首相の親書を評価した習近平
射撃管制用レーダーの照射は日中間に新たな波紋を広げたが、両国ともに話し合い解決を求めている点は変わらない。レーダー照射は非常に遺憾だが、日本政府は毅然と対処しながらも、冷静さを保ち関係修復の道を探るべきだろう。
習総書記は1月25日、訪中した公明党の山口那津男代表との会談で、対話解決を呼び掛け、安倍首相との首脳会談に前向きな姿勢を示した。中国の国営通信、新華社の報道によれば、山口氏が習氏に手渡した親書には「日中関係は最も重要な2国間関係の一つ」と記されていた。北京の政府筋は「親書は大いに評価できる」と述べ、安倍政権との対話に意欲を示した。
昨年12月の衆院選の自民党政権公約は、外交の立て直しを重点課題に掲げ、日米同盟と並んで対中関係改善を目指すと明記した。