2024年11月21日(木)

WEDGE REPORT

2022年12月30日

 2022年は間違いなく歴史の転換点として世界史に刻まれる年になった。ロシアが2月にウクライナへの侵攻を開始。停戦の見通しは今でもたたず、その影響は2国間だけでなく、世界に及んでいる。「第三次世界大戦」とも称される戦争はいかに始まり、どう動いてきたか。Wedge ONLINEの記事から振り返ってみたい。

シェルターでの生活を余儀なくされているウクライナ国民。侵攻の終わりは見えない(ロイター/アフロ)

起きてしまったロシアのウクライナ侵攻

 ロシアとウクライナの緊張関係は、2022年を迎えた時から高まっていた。前年から、ロシアがウクライナ国境付近で軍事行動を活発にし、12月には、プーチン大統領がウクライナの北大西洋条約機構(NATO)非加盟を要求していた。

 22年の年明け早々、ウクライナ情勢は「ロシアは本当に侵攻するのか」、「いつ侵攻するのか」という状況にあった。北京冬季オリンピック・パラリンピックの開催を控えていた中国との関係も注目が集まった(「やせ細るロシア、肥える中国 2つの五輪が示す関係変化」)。

 習近平国家主席は、開会式にプーチン大統領を主賓級の扱いで招待することを決めていた。「兄貴分」とも言えた中国に対するロシアの立場は経済的な状況などから逆転しており、「北京冬季五輪の期間中の侵攻はないのではないか」との憶測も飛び交った。

 ただ、そうした中露が蜜月の関係を見せるからこそ、米国内では「台湾・ウクライナ同時侵攻」という懸念も噴出していた(「台湾・ウクライナ同時侵攻 中露のシナリオ、米国の悪夢」)。

 そして、ついに世界史に刻まれる〝その日〟が訪れてしまう。22年2月24日、ロシア軍はウクライナの軍事施設に対する攻撃を始めたと発表、ウクライナ東部や首都キーフ郊外・南部の軍事施設へ攻撃した。

 欧米諸国は矢継ぎ早にロシアへの経済制裁、ウクライナへの武器などの支援を決断。欧州においては、永世中立国のスイスや紛争国への武器提供を拒否してきたスウェーデンも態度を変化させた(「ウクライナ侵攻で大転換の欧州 中立国も態度を一変」)。

 そうした中で同月25日、国連安全保障理事会(安保理)では、ロシアを批判し、ロシア軍の即時撤退を求める決議の採決を行った。ここで中国とアラブ首長国連邦(UAE)とともに棄権したのがインドであった。

 その後、時が経過するにつれ、インドのモディ首相はプーチン大統領を批判する発言もしており、インドのウクライナ侵攻への立場は見極めが難しい状態が続いている(「ロシアを非難する国連決議にインドが棄権した理由」)。20カ国・地域首脳会議(G20)の議長国にもなったインドが23年にどう動いていくかは注視が必要だ(「G20議長国就任で2023年をリードしようとするインド」)。


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