昨年8月には事実上の印中国境から200キロメートル、11~12月にかけては100キロメートルの場所で、米印共同演習が実施された。日本も、海上自衛隊とインド海軍だけでなく、先月は航空自衛隊とインド空軍が、今月は陸上自衛隊とインド陸軍が、共同演習をするのである。
QUADが協力すれば、中国は、日本向け、印中国境向け、予算を分けて使わなければならない。中国が日本や台湾だけを念頭に予算を集中できないように、または、中国が印中国境だけに集中して予算を投入することがないように、日本とインドは、米国や豪州と共に、協力すべきなのである。
G20とG7議長国にとっても役割
今回の陸上自衛隊とインド陸軍の演習は、その重要なステップだ。ぜひ継続し、改善し、日印の連携、QUADの連携を強化すべきだ。今後は、印中国境のように、山岳や冬季戦などの訓練内容にしたり、サイバー部隊、AI関連の兵器を使った訓練(両国は軍事用無人車両を共同開発中)、情報共有の手順などに関する共同訓練などに拡大していくことも考えられる。
両国が保有するCH-47のような大型輸送ヘリコプターの数を増やすなど、装備品を共通のものにして、相互の連携をとりやすくすることもあり得る。武器の輸出入や供与、共同調達も進めるべきだ。
最近発表された国際通貨基金(IMF)の予測では、22年、インドの経済成長率は6.8%。中国は3%であった。インドは台頭している。インドは今年、20カ国・地域首脳会議(G20)の議長国でもある。だから、日本は主要7カ国(G7)のゲストとして、モディ首相を日本に呼ぶかもしれない。
最近行われた日印協会120周年記念レセプションには、岸田文雄首相が参加している。今年は、日本にとっても、インドにとっても、そして米国や豪州にとっても、重要な年になるだろう。