憧れのアーティストから習う機会も
さらに、日本のACG(アニメ、マンガ、ゲーム)に対する憧れが非常に強いことは、言うまでもないだろう。今年も中国で日本のアニメ映画『すずめの戸締まり』や『THE FIRST SLAM DUNK』などが大ヒットしたことは知られているが、それだけでなく、過去20~30年に渡って、日本のアニメは中国の若者に強い影響を与えてきた。日本にはこれらの分野で世界的に有名な京都精華大学マンガ学部などがあり、現役の漫画家やクリエーター、デザイナーが多数在籍し、学生を指導している。
そのことは中国でも広く知れ渡っており、留学生の中には「現役のクリエーターが直接指導してくれるのは日本だけです。世界的にも有名だし、ここで専門的に学ぶことができれば、中国で学ぶよりも高い実力が身に就くと思います」という人もいる。そのため、中国でいったん社会人として働いたあと、改めて、20代後半で日本にアニメ留学をする人も少なくない。
前述の千代田国際語学院には美術指導専門の教室があり、授業以外の時間帯でも、留学生が自由にデッサンを描いたり、作品を制作したり、自習できるようになっている。前述の講師によれば、日本人と中国人、両方の講師が在籍しており、それぞれ役割分担を決めて、学問と実技の両方できめ細かく指導しているという。
コロナ禍や、あまりにも多すぎる大卒生と仕事のアンバランス問題などもあり、中国の大学生の就職難は年々厳しくなっている。そうしたこともあり、日本の美大進学を足掛かりに、日本でアーティストになりたいと願う若者も増えている。こうした動きは、中国国内の政治不安などもあり、今後ますます増えていきそうな気配だ。