2024年12月22日(日)

古希バックパッカー海外放浪記

2023年8月6日

『2023.2.4~4.28 83日間 総費用75万円(航空券24万円含む)』

テント泊旅行者に厳しいニュージーランド

 ニュージーランド(NZ)を自転車キャンプ旅行して痛感したのは“テント泊禁止”という厳格なルール。例外として“認可されたキャンプ場”(公営無料キャンプ場と私営有料キャンプ場)の一画の指定された“テント・サイト”でのみテント泊は許可されている。

 オーストラリアはNZと兄弟国家として発展してきたことから両国には共通点が多いがテント泊については大きく異なる。オーストラリアでも国立公園、景勝地、自然保護区などはキャンプ禁止だ。しかし6年前に筆者がオーストラリアを自転車キャンプ旅した経験では、キャンプ禁止区域以外の一般的な場所、例えば田舎の浜辺や町の市民公園などでのテント泊は地元住民も認めてくれた。むしろ地元住民から歓迎を受けることが大半であった。

ヒッピー締め出しがテント禁止令へ

クイーンズタウンのワカティプ湖沿いのプロムナードに置かれたゴミ箱。分別収集は地方により若干異なりクイーンズタウンでは三分類。一般ごみ(rubbish)は埋め立て(landfill)のがNZでは一般的。資源ごみとしてガラス、缶(アルミ・スチール)

 何人かの地元の人の話によると野宿が禁止されるに至った経緯は以下のようだ。1970年代のヒッピーから始まり1980年代には毎年観光シーズンには欧米の若者が大挙してNZへ来た。彼らは旅費節約のためテントで野宿をしてヒッチハイクで移動。

 ゴミの放置、野山での排泄など環境への影響が問題視された。マナーが悪くハイキングコース沿いの農地や牧草地に入り込み野宿して焚火するなどして地元民からの苦情が相次いだ。

一部の湖、池、沼でバクテリアが発生して水質汚染が発生している。そのため自然の水に入った後は靴、靴下、ズボンなど濡れたものは必ず洗濯して乾燥させることを励行するよう呼び掛けている。濡れた靴・衣服のままで他の湖や池に行って汚染が拡大することを防止するのが目的

 特に火の不始末による山火事や開けたままの柵から家畜が逃げるなどの事態に至り野宿禁止によりこうした外国人のマナーの悪い旅行者を規制することになった。

 野宿禁止と同時に政府は公営無料キャンプ場を整備した。同時に私営の有料キャンプ場も急速に増えたという。今ではキャンパーメイトというアプリを利用してスマホで簡単に現在地周辺のキャンプ場を探すことができる。お陰様で 今回の自転車キャンプ旅では83日間の内70日はキャンプ場でテント泊した。

地獄に仏の“リサイクルショップ”

 3月22日。預けていたバッグから冬物の衣類をピックアップするためクライストチャーチ空港近くのホステルに立ち寄った。ところがマネージャー曰く「何も記録がない。前任のマネージャーからの引継ぎにもない」とにべもない。

 既にNZは秋であり朝晩は冷え込む。冬物衣類がなければ4月下旬まで自転車キャンプ旅を続行できない。円安の影響もあり日本と比較してNZは物価が高い。食品類で約2倍、衣料品で2倍~3倍もする。ちなみに日本の100円ショップで買ったビニール合羽の下を失くしたのでコストコのような店でビニール製ズボンを購入したらなんと日本円換算で3000円。

 グーグルで調べるとホステルから15キロの地点にリサイクルショップがあった。最低限ニット帽、スキー用手袋、冬物靴下、厚手のズボン、冬用ジャンパーが必要だ。NPOが運営するリサイクルショップは大規模で家具・家電、古本、衣料と三部門あった。

 衣料コーナーは夏物と冬物が半々。女性スタッフは「端境期なので集荷した冬物衣類を整理中なので売場になければ作業場で探してみて」と助言。男性用コーナーに行くとXLとか2XLとかビッグサイズばかり。170センチ、57キロの貧弱な放浪ジジイが困惑しているのを見かねて女性スタッフが子供用コーナーに案内してくれた。冬用ジャンパーは12~16歳少年用(4NZ$=340円)、厚手のジーンズは14歳少女用(3NZ$=255円)がジャストサイズ。さらに段ボールからニット帽、スキー用手袋を掘り出したがいずれも2NZ$均一(=170円)。

 さすがに靴下の中古はない。親切な女性スタッフが「少し高いけど新品の中国製靴下があります。3足で5NZ$(=425円)。女児用だけど」柄は派手だが厚手でサイズもぴったり。なんと合計16NZ$=1360円なり。欣喜雀躍!

リサイクルショップの前のベンチで購入した冬物衣料を並べた

廃棄物削減による環境負荷軽減

 放浪ジジイが物色している間にも数人の近隣の女性が来て古着を買っていった。古着といっても状態が良く普段着として着るには十分だ。

 女性スタッフによるとゴミとして焼却処分せずにリサイクルで再利用することが環境負荷軽減になるという意識が市民に浸透しているのでキレイに洗濯された良質の古着が容易に集荷できるという。作業場を覗いたら未分類の冬物衣料品が山と積まれていた。


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