2024年7月25日(木)

教養としての中東情勢

2023年8月9日

 サウジアラビアのジッダで先週末開催された「ウクライナ和平会議」は大々的には報じられなかったが、意義は大きかった。インドやブラジルなど戦争に中立的な立場を取るグローバルサウスの国々が多数参加したからだ。会議を主催したサウジの実力者ムハンマド皇太子が「世界の調停者」として名乗り出た格好だが、ウクライナ支援を主導してきた米国は苦り切っているようだ。

ウクライナ和平会議では、主催国のサウジアラビアの隣を米国と中国が囲んだ(Saudi Press Agency/ロイター/アフロ)

サウジの呼びかけで参加国が増加

 今回の会議の名称は正式には「安全保障補佐官会議」。ウクライナ側によると、会議の目的はロシア軍の完全撤退などウクライナが提唱している「10項目提案」について論議するためで、6月のデンマークでの開催に次いで2回目。会議には米国や日本、中国のほか、インド、ブラジル、南アフリカなどグローバルサウスの国々も含め、40カ国が参加した。

 デンマークの会議の参加国は15カ国だったが、ムハンマド皇太子の招待に応じて大幅に増えた。ウクライナは当事者として出席したが、ロシアは招待されていない。

 議長席のサウジをはさんで米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と中国の代表が座った。ロシア寄りの中国はデンマーク会議には欠席したが、今回は皇太子との関係を重視して参加した。

 会議はまとまった声明などを出すことはできなかったが、ウクライナ側は「建設的だった」と評価、ロシア側は「失敗を運命づけられたもの」と一蹴した。参加者らの話によると、食料不足や核の安全、環境、人道支援、捕虜交換などの問題に対処するための作業部会が設置された。しかし、中立的な立場を取る参加国が多い事情を反映し、ロシア、ウクライナのいずれかに加担するような議論には踏み込まなかったもよう。

 議論の中身よりむしろ注目されたのはムハンマド皇太子がなぜ会議を主催したのか、という点だ。これには布石がある。


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