日本も電気料金での競争優位を考えるべきだが、今後開発の主体は競争力がないとみられる洋上風力発電になる(「洋上風力巡る疑惑 数千万円払っても稼げる仕組みとは」)。
これでは、日本経済は沈没しかねない。脱原発のドイツは取り組めないが、日本は原発の再稼働、建て替え、新設により競争優位を確保できる。
電気料金引き下げが産業の要
製造業の支払う平均の燃料費と電力費は、21年の実績では人件費に対しそれぞれ10.7%と13.7%の比率だった。その後のエネルギー危機によるエネルギー価格の上昇を勘案すれば、今は人件費の3割以上に相当するだろう。
つまりエネルギー価格が1割下がれば、3%以上の賃上げも理論上は可能だ。業種によっては、燃料費と電力費は人件費を大きく上回り、給与に大きな影響を与えている(図-4)。
脱炭素の時代になり、電気はますます重要になる。長期的な電気料金引き下げが経済対策においても要だ。電源を非炭素化しながら電気料金を引き下げるには、再エネではなく原子力の活用がカギになる。
欧州、中東、西アジアなどで相次いで原発の新設計画が発表されているが、ロシアと中国依存のリスクを避ける国が多く、入札に呼ばれる企業は米、仏、韓国が主体だ。10年以上のブランクを経験している日本企業は呼ばれていない。
電気料金引き下げ、産業振興にも寄与する原発については、電力需要が将来伸びることからも、早期の建て替えに加え、新設にも踏み切るべきだ。
エネルギー危機以降、日本でも原発支持が高まり、既に賛成が反対を上回っているとみられる。政権が、経済対策において原発による長期的な電気料金引き下げについて触れないのは、ノイジーマイノリティーへの配慮だろうか。
日本経済は待ったなしだ。経済対策に使える手段をすべて利用すべきだ。
