2023年9月15日付のワシントン・ポスト紙で、同紙コラムニストのジョシュ・ロウギンが、今回の朝露首脳会談はバイデンの対北朝鮮政策が失敗した結果だと述べている。
バイデンの対北非関与政策の結果が、金正恩の訪露となった。プーチンは、金正恩を大歓迎し、宇宙基地や航空機工場を見せた。金正恩は、ロシアによるウクライナ侵略戦争への「完全無条件の支持」を約束した。北朝鮮は大量の弾薬を製造し、ロシアに供与する可能性がある。
その見返りに金正恩は、重要なものを手に入れた。ロシアは何十年にわたり対北軍事技術制裁を支持してきたが、プーチンはその事実上の終了を明らかにした。ロシアから北朝鮮への衛星・ロケット技術の移転は、北朝鮮の核保有を一層危険なものにする。
バイデン政権は、日韓等と積極的な外交を追求し、軍事協力や抑止力の強化を図っている。それは賢明なことだが、それだけでは十分でない。
北朝鮮との対話努力が見えない。国務省の北朝鮮特別代表であるソン・キムは、駐インドネシア大使を兼務していて、それでは真剣な意図は伝わらない。
中露が更なる制裁を阻止すれば、北朝鮮に交渉を促す唯一の方法は彼らが望む何かをテーブルに出すしかない。それは軍事、核の分野での譲歩である必要はない。金正恩は、経済、食糧不足、公衆衛生のニーズに直面しており、これらすべての分野で米国は北朝鮮を助けることができる。
米政府関係者は、北朝鮮が交渉に関心を持っている兆候は何もないとしばしば言う。確かに、対北関与の再開はバイデン政権にとり難しい。その成功の可能性は低い。再選を目指すバイデンにとっては政治的リスクが高い。
北朝鮮との関与には、リーダーシップと政治的資本が必要だ。しかし、トランプ外交の混乱があったからこそ、バイデンは再度やってみるべきだ。金正恩は先数十年権力の座にいる。少なくとも一回は真剣な試みをすべきではないか。
戦略的忍耐の政策は、今の23年には危険である。外交がないと、北朝鮮は兵器開発を加速させ、米国の敵対国に接近し、紛争のリスクは高まる。金正恩政権との関与は難しいが、接触しないことは、もっと悪い選択肢だ。