初の女性総裁の登場で沸いたのも束の間、公明党の連立離脱による衝撃が広がった。「政治とカネ」に対する取り組みへの不満に加え、裏金議員の復権、派閥ボスの跳梁、露骨な〝恩賞人事〟など、高市早苗新総裁の政治姿勢への失望感、警戒感は明らかだ。
一方、与党の亀裂に付け込んで、無気力だった立憲民主党が勢いづき、首相指名に向けて統一候補擁立の工作を始めている。古い永田町政治への回帰は、新総裁の清新なイメージを損なったが、泥縄式、ご都合主義の野党の連立協議も批判を浴びるだろう。
次の首相は誰か。いよいよ混とんとしてきた。
裏金議員の要職起用も引き金
10日午後、高市総裁に連立離脱を通告した後、記者会見した公明党の斎藤鉄夫代表は苦しい決断の後だけに厳しい表情を隠さなかった。時折、寂しげな様子ものぞかせた。
斎藤代表は、企業・団体献金の扱いをめぐって、受け入れ先を政党本部か都道府県連に限るべきとの主張に対し、自民党から前向きの回答が得られなかった――と説明した。
高市総裁は10日の斎藤氏との会談で、「総裁ひとりで決められない」と述べ、持ち帰って検討したい考えを示したが、公明側は「これまでも〝検討する〟の繰り返しだった」として連立離脱を通告した。
斎藤代表は石破茂首相が退陣表明した直後、後継総裁について「われわれの価値観と一致する人」との見解を示していた。今月4日、選出直後の高市総裁との会談では、政治とカネの問題、靖国参拝、外国人政策で一致しなければ連立を維持できないと伝え、自公の政策協定取り交わしが異例の先送りとなっていた。
高市氏が就任後党役員人事で、政治資金報告書に不記載があって党から処分された旧安倍派幹部、萩生田光一元政調会長を幹事長代行に起用したことも態度を硬化させた一因だった。斎藤氏は「決着済みというのは国民感情とかけ離れている」と強い調子で語った。
公明党との連立協議の前に、新総裁が国民民主党の玉木雄一郎代表と密かに会談したと伝えられたことにも不快感を強めたようだ。
