今回公開された兵器には、ドローン、最新鋭の電子戦装備を搭載した戦車、極超音速ミサイルや北朝鮮の最新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星20」を含む様々なミサイルが含まれていた。
まだ発射実験が行われていない「火星20」は、金正恩氏の下で北朝鮮が開発してきた一連のICBMの最新鋭機である。韓国の李在明大統領は9月、北朝鮮は核弾頭で米国本土を攻撃可能なICBMの開発に近づいていると述べていた。
米国は長年、北朝鮮の核兵器計画の「完全、検証可能かつ不可逆的な廃棄」を求めてきた。しかし、北朝鮮は核兵器国として認められることを主張している。金正恩氏は9月、米国が北朝鮮から核兵器を奪おうとする試みをやめるならば、米国との対話を再開する用意があると述べた。
中国とロシアの高官が平壌で核ミサイルの行進を見守る光景は、北朝鮮の核兵器計画をめぐる北京とモスクワの政策転換を改めて示すものとなった。数カ月前、ロシア当局者は北朝鮮の非核化を「済んだ話」と称し、もはや主張しない姿勢を示した。中国も北朝鮮との高官級会談後の公式声明で「非核化」に言及しなくなった。
米中間の戦略的競争が激化し、ロシアのウクライナ戦争が激化する中、金正恩氏は北京とモスクワにとっての自身の地政学的価値が高まっていると感じている。ロシアが切実に必要とする武器と兵力を北朝鮮が提供する中で、ロシアは昨年、北朝鮮との冷戦時代の同盟条約を復活させた。そして、北朝鮮指導者の影響力拡大の証として、習近平氏は9月、金正恩氏を北京に招待し、プーチン氏とともに自身の両脇に陣取らせ、軍事パレードを観覧させた。
ロシアと中国にとって、平壌での軍事パレードは「西側諸国の戦略的優位性に対し共同で立ち向かう資産としての先進的な装備を誇示し、北朝鮮を従属国から不可欠なパートナーへと再編するものだ」と、アナリストのリー氏は述べた。
「米国へのメッセージは、北朝鮮に対する既存の戦略は時代遅れだということだ。金正恩氏は中国とロシアの高官を両脇に置き、多弾頭搭載型ICBMを含む強力な兵器を披露しているのだ」
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韓国の対応も変化
これまで西側諸国は一貫して、北朝鮮の「非核化」あるいは核ミサイル開発計画の「完全、検証可能かつ不可逆的な廃棄」を主張し、数多の制裁を科してきたが、北朝鮮の核ミサイル開発は止むことなく進められ、年々強化されてきた。
今や北朝鮮は、米本土全体をカバーする射程1万5000キロのICBMを複数種類保有し、先般の労働党創建80周年記念軍事パレードではその最新型とされる「火星20」が披露され、極超音速滑空体(HGV)ミサイルや、ウクライナ戦争で現代戦における重要性が再確認されたドローンなど、東アジアはもちろん、グローバルレベルにおいても深刻な懸念を呼び起こす兵器が多数登場した。北朝鮮にとって、核兵器はすでに交渉による取引の対象ではなくなっている。
今日、北朝鮮の核ミサイル開発に対する、中露を含む協力の枠組はもはや完全に崩壊している。
ロシアは昨年3月、国連安保理の北朝鮮制裁委員会専門家パネルのマンデート延長に対し拒否権を行使したが、これは北朝鮮に対する国連の制裁体制の維持そのものを拒否したことを意味する。上記記事でも触れられている、ラブロフ外相の「北朝鮮の非核化という概念はすでに意味をなさなくなった。我々にとって、これはもう済んだ話だ」との発言は、ロシアが北朝鮮による核保有を正面から公式に認めことを意味する。
中国はこれほど直接的ではないが、公式には「非核化」に言及しなくなった。9月4日に北京で行われた中朝首脳会談後のプレスリリースには、それまでの同種文書には言及のあった「朝鮮半島の非核化」の文字が消えていた。
