若手農家がいない
年齢構成から見える共通の悩み
ハワイの農家の平均年齢は、全米の中でも高い水準にある。全米が58歳前後である一方、ハワイでは60歳を超える。
だが、年齢構成を日本と比較すると、別の側面が見えてくる。74歳以下の層に限れば、その分布傾向は日本と一定の共通点がある。
日本は75歳以上の農家の割合が高く、その層が平均年齢を引き上げている。つまり、ハワイの農家の平均年齢は、日本より5歳以上若いが、54歳以下の若年層の割合が低く、後継者不足という点では日本の農業構造と共通しているといえそうだ。
かつては高い自給率を誇っていたハワイの農業はなぜ衰退してしまったのか。その背景をたどると、日本の現状と重なる歴史的経緯がみられる。
ホノルルの街中を歩くと、日本の観光地でもお馴染みの光景が目に飛び込んでくる。高級レストランが立ち並び、日本人も含め、行き交う観光客が絶えない。
だが、周辺に農地は見当たらない。
「以前はパイナップル、サトウキビなどのプランテーション(大規模農場)があった。だが、ハワイの生産費が高いため、競争力を失い、このような農業はフィリピンなどの海外に移転した」
冒頭のグレワルさんは解説する。旺盛な観光需要により、農地がホテルやショッピングセンター、飲食店など観光地に変わっていったそうである。
ハワイの物価は高い。筆者が現地のフードコートで食べたラーメン1杯が約3000円と、日本に比べると3倍程度の感覚だ。世界的な観光地であることも関係しているのだろうか、全米の中でも物価は高いようだ。ウーバーの運転手らからも「ハワイは物価がすべて高くて生活が大変」といった不満を聞かされた。
ホノルル市街地のスーパーマーケットを覗くと、輸入品のイチゴが1パック約9ドル(約1420円)とかなり高めである。一方、「お米特売」の文字の下には、短粒種が15ポンド(約6.8キロ・グラム)約11ドルで売られており、5キロ・グラム換算では1200~1300円程度と、日本と比べても安価である。観光地と違って地域のスーパーマーケットには地元住民の生活を支える安価な商品がある。ハワイは日本より所得水準が高いが、そのぶん生活コストも高い。庶民は食料品価格が高騰する中でも、安価なものを求めていることが見てとれた。
それにしてもなぜ、こんなに物価が高いのか。これは日本の観光地でも見られるように、高値をいとわない、購買力が旺盛な観光客の存在と高い人件費が物価全体を引き上げているようだ。
さらに大きな要因として、食料自給率が極めて低いことにある。グレワルさんは9割近くを輸入に依存していると指摘しており、大半は海路もしくは空路で運ばれてくる。ここ数年は持ち直しの傾向もみられると聞いたが、日本の生産額ベース自給率約61〜64%と比べると、依然として大きく見劣りする。
