中東情勢の緊張が続く中、ホルムズ海峡の封鎖リスクは、エネルギーをはじめ食料など「衣食住」に直結する生活・基礎的資源を海外に依存する日本の脆弱性を改めて露呈させている。危機が現実になる前に、日本は農業の足腰を強化しなければならない。
技術提供・共同研究で
活路を
日本の農家年齢も75歳以上が34%と多い状況を踏まえると、残された時間は決して長くはない。
ハワイと日本は、明治以降に行われた集団移民の歴史が象徴するように、歴史的にもつながりが深く、現在もハワイの人たちは親日的だ。ハワイの農業普及員は「日本のスマート農業の方が進んでいる。日本はハワイと違って、中小農機を開発する企業が存在する」と、日本の農業技術にも興味を示している。
特に情報を求めているのがコメの生産に対する協力だ。ハワイでも、日本産のコメは高く取引されており、生産者はビジネスチャンスと考えているようだ。実際、日本のコメを生産することは朝夕の気温差の少ないハワイでは容易ではないが、日本の農家が技術提供や共同研究を通じて、現地環境に適した栽培方法を模索することは、双方にとってもプラスとなり得る。
日本の農家の年齢構成を考えると、今後5年ぐらいがラストチャンスと筆者はみる。まずは農業外の人も含めて、若い人たちが参入できるよう、魅力的な環境整備が必要だ。
ハワイへの技術提供や共同研究はその意味でも重要になるだろう。筆者が全国でスマート農業の助言をしている際に、農家から「水やり3年」と言われることがあった。栽培方法習得には経験とコツが必要なのだ。
しかし新規就農者は水のやり方などの初歩的な躓きから挫折し、十分な品質の農産物が生産できないケースを目の当たりにした。例えば、ハワイで実証している低価格のスマート農業や生成AIなどの最新技術を日本でも展開・普及させていくことを通じて、日本の若手農家や新規就農者が失敗するリスクを低減できる可能性もある。
また、筆者はこれまで国内外問わず、様々な農業の現場を歩いてきた。海外の農家と比較すると、日本の農家の農産物は形と味が良いと評価されており、技術レベルは高い。これは自信を持って断言できることだ。
だが、日本国内にとどまり、日本の消費者だけを相手にしていては、自らの技術力の水準を正確に把握することは難しい。海外の農家との交流は、自分たちの立ち位置を客観的に見つめ直す貴重な機会となる。それは技術力のさらなる向上を促すだけでなく、仕事への新たな意欲や、やりがいにもつながるだろう。
こうした経験の積み重ねこそが、ニッポンの農業の再興を支える原動力となるに違いない。
