食の安全 常識・非常識

2020年5月25日

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松永和紀 (まつなが・わき)

科学ジャーナリスト

1963年生まれ。89年、京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち、フリーの科学ジャーナリストに。主な著書は『踊る「食の安全」 農薬から見える日本の食卓』(家の光協会)、『食の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない』(日本評論社)、『効かない健康食品 危ない天然・自然』(光文社新書)など。『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』(同)で科学ジャーナリスト賞受賞。2021年7月より内閣府食品安全委員会委員(非常勤、リスクコミュニケーション担当)。(記事の内容は、所属する組織の見解を示すものではなく、ジャーナリスト個人としての意見に基づきます)

魚やきのこから積極的に取れば……は言ってはいけない

松永:なんとなくわかってきました。高緯度地域もあるヨーロッパやアラスカ州のあるアメリカでは、一部の人たちの紫外線によるビタミンD生成はかなり少ない可能性があります。そのため、ビタミンDを添加した牛乳やジュース、マーガリンなど強化食品が多数、売られているほどです。だから、ビタミンDをサプリメントでも積極的に取ろうという話が支持されやすい。それをそのまま、日本人に当てはめてはいけないのでしょうね。

佐々木:サプリメントということばを英和辞典で引けば、補足とか補助と説明されています。補助は必要だから補助するのだし、補足は足りないから補足します。足りていないかどうかがわからない状態で補助してもサプリメントは本来の力を発揮できません。

松永:とはいえ、日本人はサプリメントまでは手が出なくても、ビタミンDの多い食品を積極的に食べてビタミンD摂取を増やしておこう、というのはよいのでは。

佐々木:メタ・アナリシスの50μgという摂取量は、魚やきのこなど食べ物から取れる量ではとてもありません。ですから、このような研究結果を魚やきのこにまで拡張してお話しするのは控えていただきたいと思います。

(ClaudioValdes/gettyimages)ビタミンD含有量は多いとされる魚でもべにざけで生100gあたり33μg、まさばが5.1μg。しいたけ(原木栽培、生)は100gあたり0.4μgしかビタミンDが含まれず、食品での50μg摂取は難しい

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