Wedge REPORT

2019年12月27日

»著者プロフィール
閉じる

新川諒 (しんかわ・りょう)

ライター・通訳

フリーランスとしてスポーツを中心にライター、通訳、コンサルタントとして活動。MLB4球団で合計7年にわたり広報・通訳に従事し、2017年WBCでは侍ジャパンに帯同。また、DAZN日本事業立ち上げ時にはローカライゼーションも担当した。現在、NHK衛星スポーツ中継や楽天TVのNBA中継での通訳も行う。

 FC今治がJ3昇格の条件をクリアし、Jリーグ昇格を決めた。昨季J3への昇格を目標に戦ったものの、年間総合5位に終わりその思いが断たれた。サポーター、スタッフ、選手が念願の舞台へ向かうため、シーズンに挑んでいた。その思いが詰まった「行くぞJ!」のキャッチフレーズが描かれた横断幕は街中に立てられていた。

FC今治のホーム最終節には、地域住民ら多くが詰めかけた

 5年前までは誰も予期していなかったJ3昇格という目標。今季は昇格だけでなく、優勝という二文字を目指して挑んだシーズンでもあった。その目標には一歩届かなかったが、これからJ3という新たな舞台が待ち受ける。その前に地域リーグの一クラブであったFC今治がどのように経営的マインドを養っていったのかその歩みに迫る。

 前身は1976年に社会人サッカーチームとして発足し、同じ愛媛県の愛媛FCのセカンドチームを経て、2012年から今の名前を関するようになった。四国の地域リーグに所属していたこのサッカークラブが全国的に話題となったのが2014年10月。元サッカー日本代表監督の岡田武史氏が突如オーナーに就任したのだ。日本サッカーの進化のために「型」を作るという思いを念頭に置いた挑戦だった。サッカークラブを強くするということだけではなく、「地域と共に、日本を元気に」という思いも込めている。

 これだけ現場での実績を持った存在がオーナーとなる例は珍しい。企業ではなく、個人がオーナーになるということも日本においては異色だ。

 海外では元アスリートが引退後のキャリアとしてオーナーグループに加わり、チームを所有する立場にまわる形が増えてきている。サッカー界では本田圭祐選手、デビッド・ベッカム氏などがいるが、その中でも世界的に代表的な例がNBAのシャーロット・ホーネッツのオーナーとなっているマイケル・ジョーダンだろう。ジョーダン氏がオーナーという事だけでチームの“価値”は高まり、レジェンドを慕ってチームに加わった選手もいる。選手達にもたらす影響力は計り知れない。さらには2019年には地元シャーロットにオールスターを招致することに成功。これはジョーダン氏が大きな役割を担っていたことは間違いない。

 だがネームバリューだけで成功が約束されている甘い世界ではない。プレイヤーとしては“神様”とまで言われたジョーダンでさえオーナーとしては批判的な評価もある。2018年5月には全米紙USAトゥディにて「マイケル・ジョーダンは過去最高の選手かもしれないが、オーナーとしては最悪だ」との見出しでコラムが掲載されたぐらいだ。その大きな理由がチームの成績低迷。勝てるチーム作りが出来ていないことに対する評価の低さが目立っている。

関連記事

新着記事

»もっと見る