がんじがらめの発電事業者
これ以上民間を縛るな
こうした影響を考慮しつつ、脱炭素社会も見据えたあるべき規制とは何か。
既に発電事業者は、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)において、新設する火力発電所の発電効率を一定の基準以上とするよう規制されている。加えて、既設の火力発電設備(石油やLNGも含む)の発電効率を最高水準とするよう求められており、今回の政府方針の位置づけが問われる。
一橋大学イノベーション研究センター・朝野賢司特任講師は「これ以上政府が追加で政策を掲げる必要があるのか甚だ疑問だ。本来、政府が目指すべきは、30年度までのCO2削減目標の効率的な達成である。そもそも省エネ法でLNGや石炭火力などの構成比を求めること自体が事業者を縛っている。それに加えて、発電効率の目標達成を強いることは、電力市場の自由化とも逆行する。CO2削減目標の達成手段の選択は事業者に委ね、創意工夫を促すことが必要だ」と指摘する。
安定供給を確保しながら脱炭素社会の実現という「両輪」を目指さなければならない資源小国・日本。この課題を打破するには、国が必要以上に介入せず、現行の省エネ法の下で民間のイノベーションに期待し、その技術開発を後押しすることが求められる。
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■資本主義の転機 日本と世界は変えられる
Part 1 従業員と家族、地域を守れ 公益資本主義で会社法を再建
Part 2 従業員、役員、再投資を優先 新しい会計でヒトを動機付ける
Part 3 100年かかって、時代が〝論語と算盤〟に追いついてきた!
Part 4 「資本主義の危機」を見抜いた宇沢弘文の慧眼
Part 5 現場力を取り戻し日本型銀行モデルを世界に示せ
Part 6/1 三谷産業 儲かるビジネスではなく良いビジネスは何かを追求する
Part 6/2 ダイニチ工業 離職率1.1% 安定雇用で地域経済を支える
Part 6/3 井上百貨店 目指すは地元企業との〝共存共栄〟「商品開発」に込める想い
Part 6/4 山口フィナンシャルグループ これぞ地銀の〝真骨頂〟地域課題を掘り起こす
Part 7 日本企業復活への処方箋 今こそ「日本型経営」の根幹を問え
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