田部康喜のTV読本
大きな転換期にさしかかっているテレビ界。スマートフォンなどの登場によって、映像コンテンツの価値はより高まっている。今、観るべきドキュメンタリー番組やドラマを、記事を読んだ方がを見なくても語れるようになる記事を提供する。
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間宮祥太朗ら個性的な役柄の俳優陣も魅力
2020/02/28 田部康喜NHKドラマ10「ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵」は、ボーカル・ドラムスで音楽ファンに知られる、クール・ビューティ、シシド・カフカが女探偵を演じるハードボイルドである。シリーズ化を期待させる、今冬ドラマの隠れた秀作である。
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登場人物たちが抱える秘密が絡み合う
2020/02/14 田部康喜カンテレ制作・フジ系列「10の秘密」は、建築確認検査員役の向井理と、弁護士役の仲間由紀恵の元夫婦が巨額のカネをめぐってぶつかり合うサスペンスである。登場人物たちの秘密が絡み合い、物語はどんでん返しの連続で息もつかせぬテンポで進んでいる。
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2020/01/30 田部康喜
TBS日曜劇場「テセウスの船」は、平成元年に無差別殺人事件の死刑囚となった、元警察官の父親役・鈴木亮平を31年の時空を超えてタイムスリップした、息子役の竹内涼真が事件を解明して冤罪を証明できるかどうか、ドラマの展開が観る者の心を揺さぶる。
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父・小林薫は殺人犯なのか、編集部の熱気も魅力
2020/01/19 田部康喜「知らなくていいコト」(日本テレビ・毎週水曜午後10時)は、吉高由里子が演じる週刊誌記者が自らの出生の謎に苦悩する心理ドラマである。シングルマザーだった映画評論家で字幕翻訳家の母親がクモ膜下出血で急死する直前、父親について謎の言葉を残す。
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群衆雪崩、火災旋風、…首都を襲う災害現象に警告を鳴らす
2019/12/20 田部康喜NHKスペシャル・シリーズ「体感 首都直下地震」は、12月初旬の1週間にわたって首都直下地震が襲うさまざまな災害の現象をドラマとドキュメンタリー、専門家の解説によって、政府が30年以内に70%の確率で発生するという地震に真正面から挑んだ。
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4K・8K時代の映像制作に挑戦する
2019/12/08 田部康喜BSプレミアム「Wの悲劇」(11月23日)は、地上波デジタル放送や通常のBlu-rayディスクの2K映像をはるかに上回る、解像度の4K放送を想定したドラマである。4K本放送は、来年1月8日、再放送は1月15日と2月5日に予定されている。
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新聞社の裏側と記者の苦悩を描く上質なミステリー
2019/11/21 田部康喜BSプレミアム「歪んだ波紋」(毎週日曜午後10時)は、フェイク・ニュースの作り方を指南するダークサイトをめぐる上質ミステリー。原作は神戸新聞出身の作家・塩田武士の短編集。ドラマは新聞社の裏側と新聞記者の苦悩を丹念に描いた傑作といえる。
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橋本愛、新田真剣祐、竜星涼、岡山天音-若手俳優陣も魅せる
2019/11/07 田部康喜日本テレビ「同期のサクラ」は、花村建設に2009年に入社した同期が繰り広げる、ちょっとほろ苦い青春讃歌である。主人公の北野サクラ役の高畑充希のコメディアンヌぶりが楽しめる。同期役の橋本愛、新田真剣佑、竜星涼、岡山天音の演技も魅せる。
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脚本・金子茂樹のセリフが心に染みる
2019/10/26 田部康喜ドラマに新しい風を吹かしている、脚本家の金子茂樹がまたユニークな作品を送り出した。「俺の話は長い」(日本テレビ、毎週土曜日午後10時)は、何気ない日常の会話を重ねながら登場人物の人生の真相を描いている。今冬ドラマの秀作のひとつである。
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上白石萌音と中村七之助の悲恋が連鎖する因果応報
2019/10/10 田部康喜BSプレミアム「令和元年版 怪談牡丹灯籠」は、幕末から明治にかけて落語を芸術の域に高めた、初代三遊亭圓朝の大作怪談を完全映像化した作品である。悲恋と殺人、盗み、裏切り、仇討ちなどが連鎖して、因果応報の物語が展開する。
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新しい映像システムと科学が強豪チームを裸にする
2019/09/26 田部康喜2019年ラグビーW杯が9月20日に開幕して列島に熱狂が広がっている。NHKスペシャルはこの大会をきっかけとして、ラグビーの魅力をシリーズで取り上げようとしている。第1回は、ニュージーランドとオーストラリアを中心に最強チームの強さを掘り下…
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脚本・安達奈緒子が紡ぎ出す美しいセリフの数々
2019/09/11 田部康喜NHK「サギデカ」は、捜査2課の警部補・今宮夏蓮(木村文乃)が「振り込め詐欺」グループの頂上に立つ黒幕に迫る刑事モノである。殺人事件や反社会的勢力との派手な立ち回りもない。脚本の安達奈緒子が紡ぎ出す美しいセリフの数々がドラマの魅力である。
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脇役陣の笑いを誘う演技も見どころ
2019/08/29 田部康喜TBS「凪のお暇」は、さえない元OL・大島凪役に黒木華をキャスティングして、元恋人のエリート社員・我聞慎二役の高橋一生との“純愛物語”である。凪が住む古びたアパートの隣人・安良城ゴン(あらしろごん・中村倫也)も絡み、コミカルに展開している。
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ラグビーチームのGMがつかむ「勝利」とは
2019/08/17 田部康喜TBS・日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」は、池井戸潤原作のドラマシリーズの主演に、これまでとは意外性のある大泉洋を起用して、新たなリーダー像を描こうとしている。コメディアン、声優など多彩な才能を誇る俳優のキャスティングは冒険とも感じられる。
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「イケメン」だけではない多彩な競演陣
2019/07/20 田部康喜連続テレビ小説「なつぞら」は、第16週「なつよ、恋の季節が来た」(15日~20日)に至って、ヒロイン・奥原なつを演じる広瀬すずが、成長を遂げる物語は、後編に入って快調なテンポで進んでいる。いうまでもなく、広瀬の代表作となるだろう。
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ミュージカル仕立ての劇中劇も楽しい
2019/07/03 田部康喜BSプレミアム「ベビーシッター・ギンは、連続テレビ小説「とと姉ちゃん」、「わろてんか」などのドラマや、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」でも活躍している、大野拓朗が女装のベビーシッター・下落合ギンに扮して、派遣先の家庭の悩みを、ユーモア…
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短編小説のような美しいセリフの数々
2019/06/20 田部康喜BSプレミアム「長閑(のどか)の庭」は、ドイツ文学の老教授・榊郁夫(田中泯)と、大学院生の朝比奈元子(橋本愛)との年齢41歳の差がある、男女の純愛の物語である。美しいセリフと、ふたりの心象風景を現すかのような湖や街々の背景が流れるように展…
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この女優を見よ!唐田えりか
2019/06/05 田部康喜NHK土曜ドラマ「デジタル・タトゥー」は、タイトルバックにヤメ検の弁護士・岩井堅太郎(髙橋克実)と、岩井の事務所に身を寄せている、人気ユーチューバーのタイガ(瀬戸康史)の裸の上半身がタトゥーをまとっている衝撃的な映像で幕を開ける。
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身体障害者が抱える苦悩を背景として、誤解、すれ違い……
2019/05/23 田部康喜フジ・カンテレ系列「パーフェクトワールド」は、下半身不随の松坂桃李演じる建築士と、インテリアコーディネーターを目指す事務員役の山本美月による、正統派の純愛ドラマである。視聴率はいまひとつながら、今季ドラマのなかで心にしみる秀作である。
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ふたりのセリフの掛け合いが微笑み誘う
2019/05/09 田部康喜テレビ東京「きのう何食べた?」は、西島秀俊と内野聖陽がゲイのカップルを演じるラブコメディである。LGBTを題材にしたドラマが増えているなかで、ちょっと深刻なテーマも、ふたりの会話と毎回異なる食事が絡み合って、しゃれた後味の佳作である。
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