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2024/09/14 藤原章生
良き父であれ悪しき父であれ、子供達は父のことが最後までわからない。子供達は父に、本当は何をしてほしかったのか。映画「パドレ・プロジェクト 父の影を追って」はそんな問い、いわば「人間の謎」を抱かせ、見る者をひき込んでいく。
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2024/08/10 藤原章生
高所登山での運動生理学を研究してきた鹿屋体育大学名誉教授、山本正嘉さんが低い山へと対象を広げた書籍『登山と身体の科学』。登山客はどうしても槍や穂高、北岳などのブランド的な山にひかれがちだが、勧めるのは日本ならどこにでもある里山だ。
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2024/07/12 藤原章生
山に生きた名もなき男の生涯を追った映画『ある一生』が日本で公開される。アルプスの美しさもさることながら、主人公の素朴さ、苦難の中でも笑みを絶やさない生き方が心をとらえる。それぞれが生き方の内省をうながされる作品でもある。
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2024/06/06 藤原章生
南アフリカの総選挙で、与党アフリカ民族会議(ANC)が過半数割れした。アパルトヘイト以降、初めて。南半球の新興国、南アで何が起きているのか。選挙前の3カ月間、現地の旧黒人居住区ソウェトで暮らした筆者がその意味を考えた。
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2024/02/27 藤原章生
30代のころ、5年半滞在した南アフリカを再び訪れ、友人に23年ぶりに会い、居候し1ヵ月半がすぎた。長い日程は、南アフリカの代表的な現地語、ズールー語を学ぶため。ヨハネスブルク郊外の旧黒人居住区ソウェトで普段語られる言葉を聞き取りたいからだ。
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2023/10/01 藤原章生
映画「オールド」は設定、ストーリーの荒唐無稽さ、それに、細部の作り込みにやや無理なところがあるにはあるが、最後まで画面に引き込む。それは、たとえ漫画的な嘘八百であっても、老い、死を描いているからだろう。
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2023/08/07 藤原章生
英国人が悪役として登場する映画で、これほどのヒットがあったろうか。インド映画「RRR」だ。強い男たちが猛獣とともに闘い、踊り、歌う大活劇という見方もあろうが、大英帝国人のずる賢さ、残忍さ、差別意識を露骨に突いたという印象が残った。
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2023/05/10 藤原章生
アフリカのスーダンで再び戦乱が起きている。再びというのは、この地では1956年以来、いや遡れば有史以来、延々と戦争が続いているからだ。なぜ戦いが続くのか。ざっと歴史を辿れば、その理由がかすかに見えてくる。
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ペトラ・コスタ監督「ブラジル 消えゆく民主主義(Democracia em Vertigem)」(ブラジル、2019年)
2023/01/21 藤原章生ブラジル新大統領就任直後、「ブラジルのトランプ」と呼ばれる前大統領支持者たちが政府機関を襲撃した。これはどういうことなのか。あらゆる解釈を確認しようがない。疑わしい事実、印象論、イメージをモザイク状に積み上げたのがブラジル政治と言える。
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アダム・カーティス監督「Russia 1985–1999: TraumaZone」(2022年、BBC)
2023/01/05 藤原章生ウクライナ侵攻が続く中、なぜ、ロシア民は戦争に反対しないのか。旧ソ連、ロシアを知るには今という点だけを見てもわからない。そこで見たのが、英国のアダム・カーティス監督によるBBCドキュメンタリー、「ロシア1985–1999 トラウマゾーン」…
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トビアス・リンホルム監督『グッド・ナース(The Good Nurse)』(米国、2022年製作)
2022/12/05 藤原章生善人はいる。悪人もいる。善人が小さな嘘をつくように、悪人にも微かな善はある。では、悪人はなぜ悪をなすのか。動機は何か。デンマークのトビアス・リンホルム監督による米国映画『グッド・ナース』は、見た者にそんな問いを残す作品だ。
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マギー・ギレンホール監督「ロスト・ドーター(The lost daughter)」(米国、2021年)
2022/10/21 藤原章生映画「ロスト・ドーター」は、中年女性が若い母親と幼い娘を見て、過去に母親を全うできなかった悔恨を描く。冷戦終結や米同時多発テロなど国際社会が変化しようと、「母親の役割」が変わらないどころかより重くなっている様子が見えてくる。
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2022/07/18 藤原章生
「米国は自信を取り戻せるのか」。この問いの中に、いくつかの新たな疑問が隠れている。米国が自信に満ちていたというのは本当だろうか。いつのことだろうか。
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2022/05/12 藤原章生
南米チリで菜食主義者が過去10年で急増している。「ベジタリアン(菜食主義者)」と答えた人は14%、「ビーガン(完全菜食主義者)」が4%に上った。その後も肉食と免疫が話題となったコロナ禍が後押しし、30代以下の若い世代がけん引役となり確実に…
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2022/04/26 藤原章生
ロシアによるウクライナ侵攻について、中南米の反応はまちまちだが、概して静かだ。ロシアや中国と強い関係のあるキューバやベネズエラがロシアを強く非難しないのは当然としても、他の国々からも厳しい声は聞かれない。
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2022/02/16 藤原章生
中米ホンジュラスでの台湾断交の動きは撤回され、一旦安泰となった。中台の国家承認を巡る外交レースの舞台は、アフリカからラテンアメリカへ移りつつある。
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2022/01/16 藤原章生
2021年11月の大統領選で、中米ニカラグアのオルテガ大統領は自ら改変した憲法に従い、形ばかりの対抗馬を相手に4度目の再選を果たした。かつて「アメリカ帝国主義の圧政」と闘う左翼ゲリラとして賞賛を浴びたオルテガ氏だが、今や恐怖政治を敷く独裁…
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2021/12/18 藤原章生
「熱帯のトランプ」と呼ばれてきたブラジルのボルソナロ大統領に陰りがみえてきた。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えることができず、米国に次ぐ世界第2位、60万人以上の死者を出している。大統領を訴追する動きも活発で、支持率も低下している。
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2021/10/15 藤原章生
中米でも古くから「働き者の国」と呼ばれてきた国、エルサルバドルが9月、仮想通貨ビットコインを国の法定通貨に取り入れた。果たしてうまく機能するのだろうか。
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