ベネズエラの空虚な選挙取引と米国制裁の効果

ベネズエラのマドゥーロ政権が野党連合と来年の大統領選挙の実施について合意し、バイデン政権がこれを評価して制裁緩和を正当化しようとしている。マドゥーロの動きも制裁緩和もまだ動きがあり、どちらも先は見通せない。

中国覇権が進む中、南太平洋へ重い腰を上げた米国

米政権は民主党、共和党にかかわらず、長年、南太平洋島嶼国に無関心だったが、昨年中国がソロモン諸島と安全保障協定を締結する等の動きを受け、やっと、この地域への関与を強めている。南太平洋における中国の動きに引き続き対応が必要だ。

パレスチナ情勢で第３次石油ショックは起きるか

イスラエルとハマスの衝突は、アラブ産油国が再び石油戦略を発動して第3次オイルショックを引き起こすのか。それは考え難いが、市場の不安感から更なる油価の高騰はあるだろう。

世界の核バランスに大きく影響する中国の核軍拡

米国防総省が新しい報告書で、中国が核戦力を増大させていることを大きく取り上げている。中国が核による最低限抑止を標榜していた頃の政策姿勢が大きく変わってきていることを示している。

米欧が直面する対イスラエルへの綱渡り外交

ハマスの突然の、余りに残虐な、大規模な攻撃へのイスラエル国民の憤怒は、理解に余りあるが、イスラエルは長期的視野を失わず、出来る限り自制することが重要である。米欧はイスラエルを支持するとともに自制を促している。

国民が将来の変化を選んだエクアドル大統領選

エクアドル大統領選で、2年の国会議員の政治経験しかない35歳がベテラン女性政治家に勝利した。これは、治安の悪化と困難な経済状況に不満を募らせ、既存の政治家に失望している国民が、将来に変化をもたらす期待にあることを明確に示している。

経済界に迫られる対中国デリスキングへの選択

企業にとり現在の選択肢は、「中国プラスワン」か「中国事業の分離」の択一のようだが、企業が難しい選択に直面していることは容易に理解される。対中デリスキングは迅速にはいかないし、簡単でもないとされるが、その必要性自体は否定されていない。

ポーランドは政権交代へ 真の民主主義を果たせるか

ポーランドの議会選挙の結果、野党連合が政権に就く見通しとなった。ただ、現意見に同調する大統領らが民主主義と司法の独立を回復するための改革を妨害しかねず、民主主義の真のエストはこれからにある。

経済減速の中国に日本と米国は何を言うべきか

中国の経済減速は習近平国家主席の外交にも影響を及ぼし得るが、中国は譲歩しか無いと思う程追い詰められていない。日本や米国は誤解を避けるためのコミュニケーションの維持は大変に重要だが、問題は、そこで何を話すかだ。

ハマスとの衝突を起こしたイスラエルの〝失敗〟

イスラエルでは、ハマスをパレスチナ解放機構に反対させ、パレスチナを「分断」させるのが妙手と考えるような時期があったようだが、これは誤った前提であったと思われる。衝突はそうした〝失敗〟によって起きたかもしれない。

カタルーニャ独立問題で機能不全寸前のスペイン議会

7月の総選挙で、第1党となった右派連合は過半数に足りず、7つの地域政党から支持を得られず、信任投票を取れなかった。次点に位置する社会労働党のサンチェス書記長が首相候補者となるが、ここでも地域政党の信任を得る必要がある。

再び軍部・王党派となったタイ 民主化は果たせな…

5月のタイの選挙で第一党となった前進党が強引に排除され、第二党のタイ貢献党が公約を裏切って軍部・王党派と手を握り、内閣を発足した。いつまでも一部のエリートが国民を無視して密室で政治を決め続けられないだろう。

米欧が保護主義へ動いた真の理由と講ずべき対策

グローバリゼーションは、中国の民主主義を促進するどころか、民主主義を弱体化させた面もある。西側諸国は保護主義へと進んでおり、それは単なる経済だけでなく、社会、政治的安定に掛かっているとされる。問題は、如何なる政策をとるかということになる。

ウクライナのEUへ期待の声と山積する課題

欧州統合のプロセスにおいて「加盟国の拡大」は統合を進める推進力の一つであったが、少し前まで真剣に討議されなかった。しかし、ロシア・ウクライナ戦争で、ウクライナ加盟へ前向きな姿勢を取る必要が出てきており、解決すべき問題となっている。

強化される中露のスパイ活動への対応の難しさ

中露の西側に対するスパイ活動は非常に活発になっている。米国や英国において、その摘発を進めるが、中露は報復としてスパイ容疑で西洋人を捕らえている。日本も中露両国に行くことは極力控えるか、必要最小限にとどめることが賢明である。

第2期トランプ政権が起きた時の外交政策の懸念

トランプ第2期政権の外交政策としてありそうなことを想定してみると、それぞれ今までの米国の政策や国際情勢を大きく変えることになる。日本も、米国の変化を踏まえて、その外交防衛政策を真剣に再考する必要があるように思われる。

韓国核保有への関心と可能性、世界からの逆風

韓国が核保有に向かう可能性を軽視すべきではない。北朝鮮の核の脅威にさらされ、中国、ロシアという核兵器国にも囲まれているからだ。国際政治理論におけるリアリズムの考え方に基づけば、考えられることだが、そのハードルは極めて高い。

スウェーデンNATO加盟問題でまたごね始めたト…

スウェーデンのNATO加盟問題は、7月のNATO首脳会議で決着したものと考えられていたが、トルコがさらに譲歩を得ようとごねはじめたり、ハンガリーが「急ぐことではない」と述べたりしている。トルコのやっていることは、プーチンに花束を贈るもので…

台湾総統選 国民党・侯友宜の世論とのミスマッチ

来年１月の台湾総統選挙の国民党候補・侯友宜は、馬英九の時代の対中国政策に戻そうとしているとみられる。しかし、蔡英文総統時代の8年間に習近平下の中国共産党自体が大きく変わり、台湾の市民たちがもはや昔に後戻りすることは出来ないだろう。

米国・中央アジア初の首脳会談が見せた課題

国連総会の機会にバイデン米大統領は中央アジア5カ国との史上初の首脳会談を開催した。ただ、歴史的な首脳会談の成果としてはいかにも地味に見える。米国はこの際、カザフスタンをはじめとするこの地域に対する戦略を更に強化すべきである